今回は空手の修行時代の話です

20代の時、初めて全日本大会を見学したあと

道場生15人ほどで焼肉屋へ行くことになった。

選んだお店は、当時はまだ珍しかった食べ放題ができるところだった。

お店のある新宿まで歩いて行くと店の前にかなりの行列ができていた。

90分待ちになります」と従業員。

先輩の「せっかくだし」「待とう」という言葉によって

90分、待つ事になった。

長い待ち時間の中、試合の興奮がよみがえりみな空手話をし始めた。

その中でも、当時一番強かった先輩の

「少し教えてやる」

嫌な予感がした。

そしてその予感は、当たった。

先輩が説明しながら左足をローキックしはじめたのだ。

暇潰しのために新宿の街中でローキック

焼肉屋の前でずっと蹴られ続け、痛いし恥ずかしかった。

痛みのせいで足がカクカクしていた。

そんな私に

「大丈夫か?」

そう先輩は聞いてきた。

「押忍」としか答えられなかったが、

もうローキックをやめてくれる!

この苦しみが終わる!!と思った瞬間

今度、右足

先輩は45分きっかりに左右交換を命じたのだった。

その時私にとって

ただのローキックが、

「地獄のローキック」となった。

(ただのローキックでも十分地獄だが・・・)

たかが90分されど90分の待ち時間。

永遠に続くんじゃないかとも思えた。

そして、この地獄のような惨劇には

続きがある。

後編につづく